富士山噴火に危機感 防災 静岡の模索

東日本大震災の発生以降、万が一の富士山噴火に備える動きが広がっている。富士山を世界文化遺産に登録する動きが進むのに伴い、登山事故などへの危機管理のあり方も課題になってきた。第３部では「ふじのくに」静岡の象徴である富士山を巡る災害への対策や課題などを探った



富士宮市の市街地から望む富士山の雄姿

　９月２日、富士山を間近に望む静岡県御殿場市の市民交流センターを会場に、県東部20市町で構成する東部ブロック市町社会福祉協議会は「富士山噴火」をテーマに火山専門家による講演会を開いた。

　「1960年、2010年のチリ地震ではいずれも同国内の火山噴火が誘発された。東日本大震災や東海地震のような規模の地震が起きれば、富士山も同様の事が起きる可能性は否定できない」。専門家の解説に市民は熱心に聞き入った。

　「噴火を想定することの必要性を改めて強く感じた」。講演会を準備した御殿場市社会福祉協議会の土屋俊光事務局長はこう話す。周辺市町の社協と連携し、噴火時のボランティアセンターの運営マニュアル作成や火山灰の飛散に備えたマスクの備蓄なども検討する考えだ。

　地元社協が富士山噴火の可能性に敏感になるのには理由がある。

　東日本大震災の被災各地に開設され、復旧作業ボランティアの受け入れ窓口となった災害ボランティアセンター。運営は各自治体の社協が担い、家屋の片付けや泥の除去など住民の要望を細かく把握した上で、全国から集まったボランティアの割り振り、調整に奔走した。

　被災地の現状を知り、御殿場市社協は東海地震や津波などに備えたボランティアセンターの運営マニュアルを確認した。ところが富士山噴火による被害に全く触れていないことに改めて気付いたという。「（御殿場市の社協と）同様の状況である社協はほかにも少なくないはず」と土屋事務局長は話す

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