サマーウォーズ

放送後になってしまったけど、これから見ようと思う人は参考にどうぞ

一番大切なのは一緒に食卓を囲める家族の存在　笑って泣いて元気あれる日本の夏の新定番

口コミで評判が広まり異例のロングラン･ヒットを遂げた傑作アニメーション「時をかける少女」の細田守監督が

家族の絆を爽快感たっぷりに描きだした「サマーウォーズ」

昨年夏の公開と同時に大ヒットとなった話題作が、早くも待望のテレビ初登場

仮想空間を部隊にデジタル用語が飛び交って一見SF映画のようだが、実は家族の絆をストレートに描きだしたヒューマンドラマ

解説が長くなるので追記へ

ゲーム好きの中学生に、消防士、救急隊員に自衛隊員、医師、警察、と多彩な面々が顔をそろえる陣内家を部隊に繰り広げられるのは

古き良き日本のお茶の間の風景だ

部隊はネット上の仮想空間が現実の生活と密接にリンクしている現代

高校生の健二は憧れの夏希先輩の誘いで一緒に帰省することに、連れて行かれたのは、信州･上田の戦国時代から続く旧家

そこに集まったキャラの濃すぎる大家族の前で夏希の恋人役を演じることになったから、さぁ大変

そんな中仮想空間上の憲司の分身が謎の人口知能にのっとられた

そいつは無数の個人情報を入手して仮想空間を荒らしまわり、その影響は現実世界にも

健二と夏希一家は家族の力を総動員して、私欲にまみれた電脳の魔物に立ち向かうことに

家族の中心にいるのは、夏希の曾祖母･栄　和服を涼やかに着こなしいざとなったら長刀と手に立ち回りを見せる小粋なおばぁちゃん

仮想空間の仕組みはわからなくても、それが危機だと判断するや、思いがけない人脈を生かして電脳テロに立ち向かう

その姿は本当にクール、そして彼女が家族に贈る愛情溢れるメッセージ　凛として温かい富司純子の声がいい

黒電話と手書きのアドレス帳を武器に戦うアナログ世界の象徴的存在･栄と対象的なのが主人公の健二

パソコンを自在に操り数学の能力は世界レベル　(数学ｵﾘﾝﾋﾟｯｸの日本代表　2056桁の暗号を簡単に解いてしまう

人付き合いが苦手な健二が自分の主張を大声で押し通せるほどに成長していく姿が爽やか

声を担当した神木龍之介(借りぐらしのアリエッティでも声優)の名演も光る

他、しっかり者に見えてお調子者でそそかっしいヒロイン･夏希に桜庭ななみ

家族の物語として象徴的なのが食卓のシーン　大きな転機は常に食卓で起こっているわけである

まず健二が家族に紹介される最初の夕食　和気あいあいとしながらもある種の緊張感をもって一定の間隔で座っている一同の姿から

温かいけれど少し面倒な家族の関係が浮き彫りに　戦いに向けて熱くなる男性陣と冷静な女性陣が対立するシーンでは
それぞれが別々のテーブルに集合

一家の異端児･侘助が栄を本気で怒らせる場面では、侘助が食卓を文字通りめちゃくちゃにしてしまう

そして家族が気持ちを合わせるときには大皿料理と大量のおにぎりを全員が遠慮なく頬張る

食卓という誰にとっても身近な場所からさりげなく発信される「家族の絆の大切さ」

だからこそ、栄の手紙に書かれている「一番いけないのはお腹がすいていることと、ひとりでいること」という言葉がより強く胸を打つ