識者に聞く 30年先を見据える力

的確な指摘だと目についた　元仏大統領･特別補佐官ジャック･アタリ氏より

今、将来を見据えることは極めて重要だと

近年、日本の何人もの首相に会う度に「あなたの最大の任務は30年先の日本を考えることだ」と助言してきた

少子高齢化、エネルギー、国防などの問題で長期戦略を持つことは当然最優先課題のはずだが

返答は判で押したように、「明日まだ首相でいるのかわからない」と、日本の首相には時間がない。指導力は発揮されず、未来を台無しにしている

この悲劇をどうしたら克服できるのか、私見では戦後の日本は戦争がトラウマとなり

強権を恐れるあまり議会に過度の権限を与えた、米国もまた日本が弱い政府を持つように望んだ

日本の首相が指導力を発揮できないのは制度にも起因するように見える　(勿論指導者自身の問題でもあるが)

憲法を改正し、政府により多くの権限を与えることも選択肢であろう

政治を理解する上で２人の重要な理論家がいる、マルクスとシェークスピアである

前者は歴史の大局観を説き、後者は情念に操られる人間関係を洞察した。指導者は「歴史」と「人間」を知る必要がある

指導者に必要なのは歴史の大きな流れをつかみ、20年･30年先を見据える力

世論の猛反発に遭ったとしても、信念を持ち説得にあたる覚悟が求められる

指導者にとって最悪の選択は大衆迎合だ、実はフランスでは指導力発揮はそれほど難しくない

大統領に権力が集中しており、やりたい事を実行できる　議会と首相を敵に回しても政権は機能する

今、サルコジ大統領は不人気だが５月の任期切れまで権力を充分に行使できる

大統領制とはいえ、アメリカでオバマ政権が敵対する議会のために麻痺しているのとは違う

そのアメリカは11月の大統領選でオバマ氏が再戦されてもされなくても、財政赤字は解消しない、ドルの地位は一層揺らぐだろう


一方、中国はインド･ブラジル同様　経済成長率が落ちていく、しかも民主化を含む内政上の懸念への対処に追われ続けることになる

日本にとっては迷惑な隣国だろうが、中国には域外に拡張する帝国主義の伝統はない

長期的にも地域的強国に留まり、アメリカと肩を並べることはない

つまり世界新秩序が米中２極体制になることはない、多極化した世界で欧州が連邦制に移行して真に１つになれば大きな比重を持つことになろう


と、確かに興味深いものでした